１０月も半ばを迎え、いよいよ県内私立中・高入試、大学入試センター
試験まで１００日を切りました。「入試までのカウントダウン」の掲示も
入口正面に張り出され、塾内の緊張感も高まり始めました。受験生の保護者の
皆様は、もしかすると受験生以上に不安を抱えられているかも知れません。
今月末から始まる保護者面談では少しでも皆様の不安を和らげることができる
ように努めて参ります。

　さて、保護者会に先立ち、中学生は各学年で二者面談を行っています。
この面談では普段の授業だけではわからないような生徒達の悩みなどが
分かります。それらを講師間で共有することで日々の声掛けなどに反映
させていきます。面談は生徒と講師間の理解を深める重要な行事の一つ
なのです。ただ、受験生に関しては志望校の決定と合格に向けた具体的
取り組みが話題の中心になります。そして、今年の中３の面談では未だ
志望校をはっきりと決めることができない生徒達が例年以上に多いことが
分かりました。慎重に選択することは大切ですが、目標なきところにゴールは
ありません。そこで、今回は志望校を決める上での大きな視点について
考えてみます。

　以前、ある会合で同席した大学付属高校の教頭先生とのお話です。大学の
付属校というと、エスカレーター式に大学にいけることが大きなメリットと
感じられて志望される方も多いと思います。しかし、その先生は、
「ウチの学校にはエスカレーターもエレベーターもありません。ただ私達は
それぞれの生徒のための階段だけは用意します。もちろん、その階段を昇る
際に様々なサポートはするけれども、あくまで昇るのは生徒自身なのです。
その階段を昇った先に大学があるかも知れないし、他の道があるかもしれ
ない。けれども、自分の力で階段を昇ることができる生徒たちは、その先に
ある目標に必ずたどりつけると思って指導しています。」という趣旨のことを
仰いました。そして、同行の先生方も方向性を同じくした自らの取り組みを
お話しされたのです。その姿勢には多いに共感させられました。この学校なら
多少距離が遠くても自信を持ってお勧めできると感じました。

　生徒募集の際に大学等への進学実績を前面に押し出してくる学校がいまだに
多いことは事実です。しかし、その実績が学校の確固たる方針に基づいた指導の
結果なのかどうかは見極める必要があります。「入試結果は予備校が出すのだから、
学校では予備校で出来ないことをやるのだ」と明言された、県内でもかなり上位に
位置する学校の先生もいらっしゃいました。また、前述の教頭先生のような考え方で
実際に指導がなされていれば、どの様な進路を選んでも、卒業生は人生において
大きな成果を収めることができると思います。

　志望校の決定に際して進学実績や偏差値などは一つの判断基準であることは
間違いありません。しかし、中・高の３年乃至６年間をそれだけで決定すると
入学後にミスマッチを引き起こすことになりかねません。では、どのような視点で
志望校を考えるべきか？無論、ご家庭の考え方や本人の性格などにより様々な
要因はあります。しかし、一つだけ挙げるとするならば、「その学校の姿勢に
ご家庭や本人が共感できるかどうか」です。公立・私立を問わず、この視点から
志望校や次善校を絞っていくことにより、入学後のミスマッチは防げるということを
実感しております。何より大切なのは本人がその学校で充実した学校生活を送れるか
どうかなのです。

　そして、納得のいく学校選びを行い、第１志望校が決まれば、それだけ日々の学習にも
身が入ります。その結果合格できれば、めでたし、めでたしです。が、残念ながら受験に
「絶対」はありえません。だからこそ、本当に納得のいく学校選びが必要なのは第２志望
以降の学校です。受験生の皆さんには今後の保護者会や面談などを通じて、最終的な
志望校選びのお手伝いをしていきます。また、受験学年以外の皆さんは是非、今後の
志望校選びの参考としてみて下さい。

　今月もよろしくお願い致します。