１０月から始まった保護者面談や中学生の皆さんとの二者面談もほぼ終了し、
いよいよ受験シーズンの到来を予感させる季節となりました。保護者の皆様には、
お忙しいところお越しいただき、本当に感謝です。そして、これからの季節に
向けたご家庭でのご支援のほど、何卒よろしくお願い致します。

　さて、最近はラグビーや野球を始めとして、各種スポーツの結果が新聞紙面を
賑わせています。その中で１１月１日に行われた全日本大学駅伝（８区間１０６．８キロ）
で初優勝を果たした東洋大学の記事が目に留まりました。東洋大は２０１１年の
箱根駅伝（１０区間２１７．１キロ）でわずか２１秒差の２位で総合優勝を逃す
という悔しい思いをしています。約２０キロの１区間でわずか２秒ずつ遅れた計算です。
そこから、酒井俊幸監督のもと「その１秒をけずり出せ」というスローガンを掲げ、
その後の箱根では、柏原選手や設楽兄弟というスター選手の活躍もあり、連覇を
果たしました。

　しかし、今年の東洋大には特にスター選手はおらず、全日本の下馬評では今年の
箱根を制した青山学院大が最有力視されていました。しかし、レース当日、１度は
青学大に逆転を許しながらも、再逆転で初優勝を果たしたのです。その記事の中で、
改めて話題となった「その１秒をけずり出せ」というスローガンの下に行われていた
取り組みが、受験勉強を行う上でも非常に参考となるものでした。

　まず、勝つために厳しい練習を行うのは当然です。しかし、東洋大では同時に学業との
両立も重視します。選手達が１時間目の授業に間に合うように、朝練は他校よりも
１時間早い午前５時から開始。それが終わってから埼玉の川越の合宿所から都内の
白山キャンパスまで通勤ラッシュの中、１時間半電車に揺られ講義に臨むのです。
ここで培われる「忍耐力」が、競技はもちろん、社会人になってからも役に立つもの
であると酒井監督は話します。その他にも月に一度の血液検査に基づく選手の栄養管理や
監督と選手同士のコミュニケーションの工夫など、競技以外の部分での活動こそが
「その１秒をけずり出せ」というスローガンの肝となっていることが分かりました。
何より、まずは立派な学生になることが、結果として優秀な競技成績につながっているのです。
大会後のインタビューで選手同士がお互いを思いやり、全員で勝利を掴んだというコメントが
胸を打つのはそんな取り組みがあってこそなのだと思います。

　教育を「科学」するという最近の試みの中で、ＩＱや偏差値など数値化できる
能力だけでなく、思いやりや協調性、やりぬく力など、数値化できない力である
「非認知スキル」が受験の結果や、ひいてはその後の人生に決定的な影響を与える
という研究結果があります。駅伝のタイムを伸ばすために練習が必要なように、
受験で成功するために勉強量が必要なことは言うまでもありません。しかし、
どんなに勉強が大変なときでも、例えば生活リズムを崩さず整えられたり、家族内での
役割をしっかりと果たし続けられたりできること。また、例えば授業後に消しカスを
片づけられるとか自習室で周囲に配慮して振る舞えるなど、塾でも思いやりを持った
行動を取れること。そういったことが最終的に「合否を分ける１点」につながるのです。

　我々講師達も、月例テスト結果の分析やより良い授業をすること。そして、生徒の
皆さんとの十分なコミュニケーションを通じて、皆さんの受験での成功を全力で
サポートします。そして、それぞれのご家庭の協力の下、講師と生徒同士が一致団結して
受験に臨む「チーム日米」として、今年も最高の結果を出すことを目標に、これからの
日々を過ごしていきます。受験生にとっての本当の勝負はまだまだこれからです。
昨年の公立前期入試ではわずか０．５点差で涙を飲んだ例がありました。今年はそんな
思いをしたくはありません。最後まで決してあきらめることなく、「やりぬく力」を
持って共に頑張りましょう。「その１点をけずり出せ！」

　今月もよろしくお願い致します。