学校での新年度が始まり、例年同様、沢山の中学部の卒業生達が真新しい制服に身を包み、日米に来てくれています。本当にこの時期の彼らはキラキラと輝くような存在です。そんな先輩方の姿を目にして、やる気に火がついている生徒の皆さんもいると思います。我々講師達も、彼らの姿を見ると自然と気持ちが高ぶり、燃えてきます。来春もまた、こんな素敵な風景を作り出せるように頑張っていきましょう！

　また、ここ数年は入試を終えたばかりの多くの新高１生達が早速自習室で勉強しています。「入試は通過点に過ぎない」ということを確実に意識してくれているようです。３年前にこの通信でも書いた「公立の前期入試で合格した翌日から、春休みも通じて１日も欠かさず自習室に来ていた」生徒は今春、見事に北海道大学へ現役合格を果たしてくれました。また、今年、東工大、千葉大といった国立大学に日米の高校部から見事に合格を勝ち取った生徒達も、やはり高１から授業に通ってくれていました。浮かれることなく、怠ることなく、淡々と努力を続ける姿勢は結果へと結びつくのだということを改めて実感しています。

　もっとも、毎日のように自習室に来て、勉強を続けている生徒の中にも、ある時期までは、自習室はおろか塾に来るのさえ嫌で嫌で仕方がなかったという人がいます。それが受験を終える頃には自らの意志で、極端にいえば、放っておいても、次の目標に向かって勉強するようになっているのです。ではなぜ、人はそんなにも変わるものなのでしょう？それを日米で導入している「教育コーチング」の観点から考えてみます。

　日米は５年前より、日本青少年育成協会の「教育コーチング認定校」として、講師全員が教育コーチングの研修を受講しています。その研修の中で、教育コーチとしての３つの信念を学びます。すなわち「人は育とうとする生き物だ」「人は自分の中に答えを持っている」「人はそれぞれ」という人が本来持つといわれる特性です。教育コーチは常に、この３つの特性を意識し、それを信念として生徒と関わることを学びます。なかでも、「人は育とうとする生き物だ」という点は重要です。ともすると講師達は何とかして「成績を上げなくては！」「志望校に合格させなければ！」という思いが先行して、生徒の皆さんの成長という観点からすると余計な手出しをしている可能性があるからです。

　子供は「育とうとする生き物」である以上、「育てられる」ことに対して抵抗します。育てられてしまっては、自らの力で成長する喜びは得られないからです。このことは脳科学的にも証明されているようです。すなわち、「自分でやりたい」という本能を司る「自己報酬神経群」は命令に対しては機能せず、それを邪魔なものと認識するのです。だから、自分が勉強しようと思っていたときに、「勉強しなさい！」と言われることで一気にやる気がなくなるというのは、本当なのです。

　子供達がやる気になるのは、あくまで自己選択に基づいた行動によって達成感を得られたときです。だから、講師達は常に生徒達から「どうしたいか」「どうなりたいか」を引き出すことを意識しているのです。そして、引き出された思いに応えられるように様々な形で支えてあげることが講師としての役割だと考えています。あとは、ひたすら子供達が成長することを信じて待ってあげるだけです。あくまで「人はそれぞれ」なので、子供ごとに成長時期が違うのは当然です。それぞれの成長を見守りながら待つことが重要なのです。

　入試は最終的に、自分が「どうしてもこの学校で勉強したい！」という思いの強さで結果が大きく左右されます。そして、入試を終えてそのことを実感した生徒達は、次の目標に向かって「なりたい自分」になるために努力を続けられるのだと思います。我々講師は一人でも多くの生徒達が受験を通じてそんな思いになれるように日々、自らも努力を続けていきます。我々も「育とうとする生き物」なのです。