師走になり、いよいよ本格的な受験シーズンの到来です。千葉県内私立中の
推薦入試が終了し、千葉中の一次検査も行われました。そして、大学入試では
慶應大学文学部の自己推薦入試での合格者が出ました。推薦入試といっても
小論文形式の問題が課され、倍率も男子は５倍を超える難関入試です。ただ、
合格したS君は中学時代からこの学年の中心的存在で一般入試でも十分に合格が
狙えるだけの実力の持ち主ではありました。

　では、なぜ彼が自己推薦入試を選んだのか？それは、「一刻も早く学校の授業に
集中したいから」という、あまりにも意外な理由だったのです。それがどういうこと
なのか？というのが今月のテーマです。

　彼が通う県立千葉高というのは言うまでもなく千葉県の公立トップ校です。
大学入試でも東大を始めとする最難関大学に数多くの実績があります。ではそこで
どのような授業が行われているのか？というと…、実はほとんどの授業が入試には
直結しない内容のようです。それは広く浅くそれぞれの教科内容をなでるような
ものではなく、特定のテーマについて深い知識や考察が必要とされるものなのです。
S君に言わせるとそんな授業は「非常に面白い」ようですが、目先の大学入試を
考えると千葉高の授業を「無駄」だと感じる生徒も多いようです。S君も勿論、
一般入試の学習と並行して学校の授業にも取り組んでいたわけです。が、彼が大切に
したかったのは受験勉強よりも学校の授業でした。そこで、彼が選んだのが
「推薦で合格する」という手段だったのです。

　そもそも、入試とは何のためにあるのか？綺麗ごとを言うつもりはありませんが、
それは「自分がより良く学ぶ環境を手に入れるため」なのだと思います。
「人はそれぞれ」です。それぞれの能力や個性に応じて学ぶべき内容も変わって
きます。

　では、「学ぶ」とは何か？それは「よりよく生きるための知恵を身につける」こと
だと考えます。勉強に限ったことではありません。人は様々な場面で学び、知恵を
身につけ、そして、より良く生きようとするものなのではないでしょうか。
「自分がより良く生きるためには何が必要なのか？」を考え、学んだ結果、
自分が進むべき道を見出していくこと。私達はそのことを生涯繰り返して生き続けて
いくのだと思います。高３のS君が、今、自分が学ぶべきことを考え、その進路を決め、
そこに向けて努力した結果、志望校合格を手に入れたことを自分は誇りに思います。
おめでとう、S君！

　入試を目の前にした受験生諸君は、正に様々な不安や葛藤の最中にあると思います。
しかし、目の前にある課題に取り組むことは今後君達が「より良く生きるため」の
学びの一環なのです。ただ単に「受かれば良い」のではないのです。受かるまでの
過程が「より良い自分」につながらないようなものであるならば、受験なんて害悪で
しかありません。今、自分がなぜこの勉強をしているのか、その先に何があるのか、
ということを行き詰ったときやふとした瞬間に考えてみて下さい。受験の先にある
のは君達にとっての「より良い未来」なのです。そう考えれば、受験勉強は苦しい
ばかりではなく、自分を成長させてくれる素晴らしいチャンスと言えるのです。

　日米は生徒の皆さんが受験を通じて「より良い未来」を手に入れるための応援を
し続けます。それが、日々の授業や授業外での声掛けや様々なイベントです。
これらの機会を通して、皆さんに学びの場を提供すると共に、我々自身も本当に
多くのことを学んでいます。何度繰り返しても、常に新しい学びがあり、発見が
あります。そして、毎年「最高の学年」になるのです。まだまだ今年の受験生も
決して仕上がってもいなければ、むしろ多くの課題が残されています。が、自分は
信じています。卒業式で「君たちは最高だ！」と言えることを。

　今年も１年間、様々なことがありながらも皆様に支えられ、ここまでの日々を
過ごして参りました。心より感謝申し上げます。これから、冬期講習、正月特訓、
そして、入試と塾にとっては１年の佳境に入ります。また、受験生の保護者の皆様
には精神的に本当に大変な日々になるかと思います。何よりも、お身体を大事に
お過ごし下さい。日米は精一杯、皆さまに寄り添えるように努めて参ります。

　来年もよろしくお願い致します！